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【ファッション業界の疑問】何故・・Right-on(ライトオン)は衰退したのか?



1990年後期から2000年初期、ジーンズ市場を牽引してきたジーンズといえばライトオン(Right-on)。
かつては全国各地のショッピングモールでそのを名を目にし、「デニムといえばここ」と言われたショップ。
2025年1月現在、最盛期516店舗が現在340店舗まで減少しているをしているその衰退の背景を調べたいと思います。


Right On公式HPより

Right-on(ライトオン)の歴史と成り立ち

1. 創業と設立

ライトオンは、1980年に日本で創業されました。当初から「ジーンズ専門店」としてスタートし、アメリカンカジュアルを軸に、ジーンズを中心とした商品展開を行いました。


2. 成長期:ジーンズブームの波に乗る

1980年代から1990年代にかけて、デニムを中心としたカジュアルウェアが若者たちの間で流行し、Right-onは、そのトレンドの中心的な存在となりました。この流れに乗り、ライトオンは「ジーンズといえばライトオン」というブランドイメージを確立していきます。

  • 幅広いブランド展開:Levi’s(リーバイス)、Lee(リー)、Wrangler(ラングラー)といった世界的なデニムブランドを日本に浸透させる中心的な存在でした。
  • 全国展開:ショッピングモールを中心に店舗を増やし、全国に広がりました。特に地方都市において、ジーンズ専門店としての認知度を高めました。
  • ターゲット層:主に10代から30代の若者を対象にし、トレンドを取り入れたジーンズやカジュアルアイテムを販売しました。

3. 全盛期と成功要因

1990年代から2000年代初頭にかけてはライトオンの全盛期でした。この時期の成功要因には以下があります:

  • 専門性の高さ:ジーンズを中心に据えた商品構成が、カジュアルファッション愛好者に高い支持を得ました。
  • 郊外型店舗の展開:ショッピングモール内に出店することで、家族連れや幅広い層をターゲットにした戦略が奏功しました。
  • 広告戦略:テレビCMや雑誌広告を活用し、「ジーンズの定番ブランド」としてのポジションを強化しました。

 

Right-on(ライトオン)のオリジナルブランド

BACK NUMBER(バックナンバー)

  • 概要:ライトオンの代表的なオリジナルブランドで、シンプルでカジュアルなデザインが特徴です。
  • 特徴:

• ベーシックなデザインで、幅広い年代に対応。

•デニムを中心に、Tシャツやシャツ、スウェットなど、トータルでコーディネートが可能。

•トレンドを抑えつつも、普段使いしやすいアイテムを多く展開。

  • 価格帯:比較的手ごろな価格で、コストパフォーマンスが高い。
  • ターゲット層: 幅広い年齢層に支持されており、特にカジュアルなスタイルが好きな方に人気。

 

Right-on衰退の5つの原因

1.競争の激化:ファストファッションの台頭

ライトオンの全盛期、多くの顧客は「ジーンズ専門店」という価値を重視していました。 しかし、H&M、ユニクロ、GU、ZARAといったファストファッションブランドが、日本市場で急速に拡大しました。

ライトオンの中心商品であるデニムやカジュアルウェアが、トレンドの取り入れも早いこれらのブランドに比べて価格やデザインの競争力で劣ると感じる消費者が増加した。特にユニクロは高品質で手頃な価格のデニムを展開しており、ライトオンのメインターゲット層を奪った可能性があります。

2.消費者ニーズの変化

デニムは「時代を超えた定番アイテム」と言われますが、最近ではトレンドに敏感な若年層にとって魅力が薄れている。しかもリモートワークの普及により、着心地の良いストレッチ素材やジャージ素材硬くて動きにくいイメージのある従来のデニムの需要が減り、ライトオンの強みが弱くなったのです。

3.オンライン戦略の遅れ

ライトオンもオンラインストアを展開していますが、ECプラットフォームでのプロモーション力や利便性が他社に比べて劣っていると指摘されています。コロナ禍でオンラインショッピング主流となった中で、その遅れが一旦あったのは否めません。

4.ブランドイメージの滞留

ライトオンの店舗を訪れると、多くの商品が並んでいるもの、「これが欲しい!」と思われるようなトレンド感が薄いとの声もあります。「デニム&カジュアル」のイメージが強い一方で、それ以外の商品の個性が弱く、ブランドとしての差別化ができず、創業時の「ジーンズ専門店」のイメージが根強く残り、新しいトレンドや価値観への対応が遅れている。

5.店舗運営のコスト増

全国に多数の店舗を構えるライトオンですが、大型ショッピングモール内のテナント料や人件費の増加は、経営を圧迫する取り組みになっています。 特に郊外型モールが多いライトオンの出店形態は、都市部でのブランド認知度や集客力が弱い。

まとめ

ライトオンのこれから

Right-on(ライトオン)は、過去の成功と現在の課題を踏まえながら、今後の展開に向けた取り組みが期待されています。ファッション業界は競争が激化し、消費者ニーズが多様化する中で、ライトオンが持続的な成長を遂げるためには、以下のような戦略が重要です。

1.ブランド価値の再構築商品差別化の強化

•デニム以外のアイテムにおいて、よりトレンド性やオリジナリティを打ち出す。

•サステナブル素材や地域コラボ商品の展開。

2.ECおよびデジタル戦略の強化

•オンライン販売における利便性向上やプロモーション強化。

•商品の魅力を伝える高品質な写真や動画、サイズガイドの充実。

•若い世代をターゲットに、SNSやインフルエンサーを活用したプロモーションを展開。

3.店舗体験の改善

•店舗デザインの刷新や店舗内にジーンズのカスタマイズスペースやコーヒースタンドを設置するなど、新しいショッピング体験を提供。

•都市部への出店強化や都市部にある主要店舗を、ブランドの魅力を最大限に発信する旗艦店としてリニューアル。




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